「アジアの玄関口」なんて自称している福岡です。自称しているんでいろいろなアジア人がやってきます。私も道を尋ねられたりした事があります。

私は道を尋ねられて身の危険を感じるくらいで済みましたが、販売業として接客を行っている奥さんはまた違った考えを持っています。「せめて意思疎通できるようになってから来い」だそうで。とある国から観光客集団が来店した時の話ですが、日本語は勿論、英語も通じなかったそうです。何やら訳のわからん言葉でまくし立てられて何とか笑顔で応対していたそうですが、日本語である「くつ」も、英語である「シューズ」も、どちらも理解してもらえなかったそうで。「せめて簡単な英単語くらいなんとかしてほしいよね」だそうです。会話までは難しいでしょうけど、単語を並べてどうにかできるレベルではあってほしい、と。ごもっともです。この時は筆談で何とかしようとしたそうですが、「靴」という漢字を思い出せなくて難儀したそうです。普通に生活しているとあまり書く機会はありませんからね、「靴」。

さて、先日の事。福岡ドーム、じゃなくてヤフードーム、でもなくてヤフオクドームとなった旧福岡ドームですが、そこで大手電器チェーンの処分市が行われました。数年前は特に目的があるわけでもなく休日出勤のついでに小物を買ったのですが、今年はモード切り替えが出来なくなって動画撮影や撮った写真の確認が出来なくなったデジカメと、汚れ感知センサーがボロくなって使い始めに必ず泡立ち異常エラーが発生する食器洗い乾燥機の買い替えを狙いに行きました。デジカメは、子供も大きくなってシャッターチャンスを狙わなければいけないわけでもないし、乾電池駆動でそれなりに丈夫なモノがお手頃価格で手に入ればいいですし、食洗機は型落ち品が手に入ればいいな、くらいですし。結果的には食洗機は影も形もなく、デジカメは充電バッテリータイプばっかりでそもそも乾電池タイプは希少品なので選択の余地なしでした。それよりゲームコーナーで「MetalMax2R」をワゴン価格で回収できたことの方が嬉しかったりします。

処分市の会場はドーム球場内と言う事でそれなりの広さはあるのですが、その会場を埋め尽くすほどの人出でもう大変です。「こちら、お一人様一点限りとなっております」とか「押さないで一列に並んでください」とか、ひっきりなしに聞こえてきます。んで、台車にいろんな商品がてんこ盛りだったり、カゴに「一点限り」のデジカメがてんこ盛りだったり。そんな台車やカゴを持ってレジに並んでいるのが「漢字を喋る人たち」です。

型落ちのデジカメを、箱のデザインから判断すると三機種くらいしかないのにカゴから溢れるくらいに入れてどうするんだとか、列守れよ並べよ押すなよとか、まあ阿鼻叫喚の惨状です。押しあいも取り合いもどちらも「漢字を喋る人」同士でやってるんで、カタカナやひらがなを喋る人たちはちょっと離れたり隙をついて品物を確保したり。で、レジに並んで同じようにそっちを見ている人たちがやっぱり漢字で喋ってたり。見ていると、若い学生くらいのお兄ちゃんたちはデジカメを大量確保し、ちょっと歳が行った人たちはスーツケースを確保している傾向がありました。デジカメは、まあ分からないでもありません。多分転売とかでしょう。スーツケースはよく分かりません。「日本製は高性能」とか言われてたりするんでしょうか。興味がないんで見てないけど、そのスーツケースは中国製とかじゃないかな。

となりのレジ列でデジカメを大量確保している学生集団が会計の時にどうするのか、レジは通るのか気になっていましたが、残念ながら私の列の方がどんどん進んでしまったので結末は不明です。騒ぎにはならなかったようなのでもめ事は起きなかったのでしょう。三千円でデジカメを確保した私はそのままちょっと離れたところにあったゲーム・おもちゃコーナーに吸い込まれ、前述の「MetalMax2R」を確認してまたレジに並びました。ひらがなとカタカナで喋る親子連れの後ろに並び、さあ私の番だ、と思ったところでおもむろに脇にどけてあったカゴの会計を始めるレジ担当のおっちゃん。何故か同種の商品が多いカゴでした。Wii用ソフト「ファミリーフィッシング」やAKBのCDなんかが十本ずつ入っています。どれもワゴンに並んでいたゲームやCD、DVDばかり。おいおいあれ全部お買い上げかよ日が暮れるじゃないか、と思いながら見ているとその横にカゴのおかわりが並びだしました。どうやらカゴ三つ分お買い上げです。で、カゴを持ってきたのがまたお約束通り漢字を喋るお兄ちゃん達です。

横でやられる分には勝手にやれとも思うのですが、直前でやられるとたまったもんではありません。今回は茫然とする私を見かねてか、横の列から「こっちにおいで」と声をかけてもらえたので、幸いにも日が暮れる前に会計を終わらせる事が出来ました。声を掛けてくれたのは同年代くらいの男性と初老くらいの男性。どちらもひらがなとカタカナで喋る人たちです。同行者とかではないようですが、お二人ともそこかしこで「漢字」の人たちにやられていたようで、ちょっとした愚痴大会となりました。私も「たまらんっすよねえ」とか言ったり。

人種でとやかく言いたくはないですが、日本に来たら日本の習慣でやってもらいたいものです。騒ぐな、列に並べ、個数制限を守れ、大量購入するなら列に複数回並べ。あとは意思疎通できるようになってくれ。漢字でわめかれると怖いよ。