かつて、「ドリスタン」という風邪薬がありました。粉末をお湯に溶かしてジュースのような液体を飲むタイプで、レモン味やリンゴ味などのバリエーションがありました。個人的にはリンゴ味が好きで常備していたのですが、既に生産停止となっているようでもう見かける事はありません。後継となる同種の薬もないようです。ドリスタンというと、個人的にはあの「強力さ」が忘れられません。飲み終わった後で猛烈な睡魔に襲われ、布団に転がり込んであっという間に眠りに落ち、翌朝目が覚めると大量の寝汗をかいている、そんな体に悪そうな強力さです。初めて飲んだ時はびっくりしました。そりゃ風邪薬なんだから飲んだ後はおとなしく寝てろと言われればそれまでですが、それにしてもこれは日中にはとても飲めやしません。飲んだら寝ちゃいますから。んでもって汗だくだくですから。寝て体力回復するんでしょうが、同時に汗かいて体力消耗もしています。効き目も強烈だったんで文句はなかったんですけど。

ドリスタンを失って辿りついたのがベンザブロックです。三種類あるうち、特に私が愛用しているのが「鼻」用の黄色のベンザです。CM でも同様のやり取りがありますが、私の風邪は鼻からやってくる事が多いのです。特に鼻水。ティッシュを鼻に詰めて仕事をする事も珍しくありません。そんな私に最適なのがこの黄色の、鼻用のベンザブロックです。対鼻効果に重点を置いてあるせいか、風邪薬特有の睡魔もさほど強くなく、それでいて鼻水、鼻づまり効果は非常に強力と、まさに言う事はありません。難点は、鼻以外の諸症状に対しての効果がやや薄い点ですが、そりゃ鼻重視なんだから仕方ありません。熱やらなんやらは別の薬に任せればいいんです。あとは、初期段階での対応には向かない点。鼻専用、特にやや症状が悪化しだしてからが向いているんで、やっぱりそういうのは他の薬に任せないといけません。

初期対応用にうってつけのものが見つからないまま、C1000タケダでごまかしたりしていましたが、先日良いものを見つけました。とある番組で、「風邪の初期症状には『改源』がいい」と言っているのを聞きました。ほうほう、試しに使ってみようではないかとしかし「ちょっと熱っぽい」とか「なんかノドが変」くらいで服用するもんで効いているのかどうなのか、風邪だったのかちょっと調子が悪いだけだったのかがよくわかりません。「良薬口に苦し」を体現しているような苦い粉末状の薬ですんで、「漢方パワーで治ったんだ」と勝手に納得していました。

ただ、最近ある事に気付きました。改源を飲んで寝ると、やたら熟睡できる気がするのです。改源の売り文句の一つが「眠くなる成分である抗ヒスタミン剤を含まない」というものです。この抗ヒスタミン剤は鼻の諸症状に効果的なんで、つまり私のメイン症状には相性が悪いんですがそれは置いといて。眠くなる成分を含まないので眠くならない、睡魔に襲われない訳ですが、しかし私の体が「ぐっすり寝たよ」と申しています。具体的には、寝返りもできないほど熟睡したので変な態勢で落ち着いてしまって体の変なところが痛くなり、頭部の位置が固定されてしまったので寝ぐせが凄い事になっています。これはひょっとして、漢方パワーで血行が良くなって気持ちよく眠れたとか、そういう副効果があったりするのではないでしょうか。強制的に眠くなるわけではなく、「通常の生活リズム通りだけど寝たら泥のようにぐっすり」という方向です。各種風邪薬やアルコールと違って強制的に眠ったわけではなく、また目覚めの際に体を重く感じるわけでもありません。

という主張をしてみたのですが奥さんが非常に胡散臭い顔でこちらを見てきます。そりゃまあ、「眠くならない薬を飲んだらぐっすり眠れた」とか言われたら「脳に来たか」と思われてもおかしくありません。いやいやそうじゃないんだよ、多分漢方の力だから多分体にも優しいんだよと言いましたが、改源は匂いがいかにも漢方なんで嫌だ、と。ドリスタンの時もいくら勧めても一度も服用してくれなかったんですが、今回も改源は私専用風邪薬となりそうです。


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