最近我が家にコロコロコミックが導入されました。「コロコロは『導入』されるものなのか」という問いはさておくとして、息子たちが一カ月交代で買い役を担当しているようです。今月号はお兄ちゃん、来月号は弟、という具合に。

昔の私にとって、コロコロとは高嶺の花でした。比較的自由にお小遣いが使える友人宅にしかない書籍です。しかも、どちらかというと男兄弟が多い家にて購入率が高い傾向がありました。自由になる金銭がなく、そして男は私ひとりであった我が家には縁のない代物でした。そもそも当時の我が家には漫画らしい漫画がなかったし。ことわざ辞典にちょっと載ってた漫画と、新聞の連載漫画くらいだったなあ。「ぐうたらママ」は週末のオアシスでした。

高嶺の花と言うと、当時全盛期であったゲーム雑誌もそうでした。マル勝ファミコンやらファミコン必勝本やらファミリーコンピュータマガジンやら。当時より生き残っているのはファミコン通信くらいになってしまいましたが、当時は様々なゲーム雑誌がありました。勿論近年新しく創刊されたものもありますが、それもまた置いておくとして。当時のゲーム雑誌の内容は攻略や紹介が主でした。ファミコンを買ってもらえない私にとっては、そのような雑誌を読むことで脳内プレイを楽しんでいました。当時のゲーム雑誌には画面写真を切り貼りして作成された各種マップが掲載されていることが多く、それもよく使用していました。マリオのようなアクションゲームであれば「ここでジャンプしてここでアイテムとってこうしてこうしてクリア」とか。ドラクエのようなロールプレイングゲームであれば「この敵が出てきたらこう攻めてここの街でこれを買ってここの洞窟をこう進む」とか。

そういうゲーム雑誌や漫画雑誌を私が手に入れていた方法が、地域の子供会が行っていた廃品回収でした。勿論最新のものではありませんが、そもそもそういう書物に飢えていた私にとっては関係ありませんでした。一年や二年、あるいはさらに古い書物であっても、興味があれば勝手に抜き取って読んだり、いくつかは持ち帰っていました。持ち帰った本の中にウィザードリィの小説が連載されている頃のファミコン必勝本が含まれており、それがきっかけでそのゲームや作者に興味を持ったりもしました。あの時持ち帰るのをファミ通だけにしとけば、「ベニ松新刊出さねえなあ」とか愚痴ることもなかっただろうに。

今でも子供会が廃品回収を行っています。現在の我が家にゲーム雑誌は存在しませんが、コロコロコミックがあります。次回か、その次くらいからはビニール紐で束ねられる存在となるでしょう。が、それはまだ先のこと。我が家から出ていくものの多くは新聞紙と、あと段ボール。AmazonとかAmazonとか、あとティファールとかの箱ですね。一つ二つならば問題ありません。工作の材料として子供が学校に持っていくこともあるし、郵送用に使われることもあります。これが10や20となると邪魔で邪魔で。先日行われた廃品回収の際には、溜まり溜まった段ボールを多数出荷しました。子供会の行事ということで、子供たちの手も借りて。

収集場所は近所の公園。距離は問題ありません。問題は量。三人がかりで二往復分の荷物です。段ボールに新聞、そしてかつて資格試験用に私が購入した書籍。五年前のソフトウェア開発技術者試験用問題集なんて、もはやケツ拭く紙にもなりゃしません。そういう多数の紙ゴミを運びます。段ボールはこっち、新聞はこっち、はいはい書籍類はこっちね。近所のご家庭からも様々なモノが運ばれてきます。そんな中、たまたま私の直前に雑誌類置き場に積まれた書物類に目が止まりました。

どこぞのお爺さんが自転車で持ち込んだ雑誌の束。私が手前で順番待ちをしていなければ、特に気になることもなかったでしょう。順序に従い、その束の上に自分が持ち込んだ雑誌類を置こうとします。が、置く直前に気になる絵が目に映ったため、その隣の山に置き改めてお爺さんの雑誌を確認します。

その雑誌の束。最上部に描かれていたのは初音ミクでした。詳しい説明は面倒くさいんで省きますが、所謂「ボーカロイド」というやつですね。あれ、いろいろと設定が難しいみたいなんで解説用の書籍なんかも出版されているのではないかと思います。ひょっとしたらこの雑誌もそういう解説本の類なのかもしれません。しれませんが、表紙に書いてある「18 Years Old」とか「Adult」とかの文字列が全てを物語っていました。爺ちゃん、子供会の行事でエロ同人はどうよ。息子の所有物か孫の所有物か知らんがこういう場に出すもんじゃないだろう。しかも他の本の背表紙などから判断するに、その束全部18禁っぽいし。たぶん、上の方にある薄い本が同人関係で、下の方にある厚めの本が商業系だな。

不自然に立ち止まったりはしません。それくらい瞬時に読み取れなくてどうしますか。昔は本屋なんかで「どの本が一番よさそうか」なんかを選ぶ際、その場に立ち止まって吟味するなんて事はできなかったわけですから「すれ違いざまに横目で様子を伺い、再度その場を訪れた際に確保する」という手法を磨き上げたわけです。そういう往年の技術を用いて、いやそうじゃなくて廃品回収だよエロ本選択じゃないよ。マジマジと観察したわけじゃありません。持ち帰ったわけじゃありません。それくらいわかるもんなんです。いや、ほんとに、今回は持ち帰ってないって。


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