仕事中の私は一人ぼっちです。どのくらい一人かと言うと、先日より後輩が別の仕事場に行ってしまい、会社にはかれこれ三年ほど出社しておらず、上司の顔を見るのは年に数回、といった具合。先日は久しぶりに会社に連絡を取る必要があったのですが、後輩がいた頃は全て彼任せだったもんでこれも数年ぶり。受話器越しに同僚と思われる人の声を聞いて、「きっとこの人は私に会うことはないんだろうな」と考えてしまうくらい一人ぼっちです。もう慣れましたけど。寂しくないよ。
で、一人ぼっち。いや、まあ、一つのプロジェクトに対して私一人でやっているというわけではないんですけどね。勿論、チームを組んで数人掛かりで取り組んでいるわけです。ですが、発注元の会社の人たちは主に事務作業中心。一緒にシステムを作成する人は別の仕事場、具体的にはその方々の会社で作業。で、私はと言うと発注元の会社で一人っきりで作業。もう慣れましたけど。寂しくないよ。
チームを組んで作業をする、となると、その中で作業の分担を行います。僕はこれ、君はそれ、といった具合に。大雑把には会社単位で分割し、それをその会社で担当者ごとに再分配するという形式になります。しかし、私の会社は私一人。必然的に当社担当分はそれ即ち私の担当分となります。複数人で作業を行うならばその人員の中で柔軟に作業分担の再配分なんでできますが、一人だとままなりません。契約というものに縛られていますから、担当分はこなさないとお給料がもらえません。そう、それが例え急に作業量が増えたとしても。例え「どう考えても休日出勤や残業が多くならないと無理」なんて作業量だとしても。もう慣れましたけど。寂しくないよ。
そんな訳で、今日も休日出勤中です。最近は残業続きで帰宅すると子供達もぐっすりと就寝中です。朝は朝で子供達が目覚める前に出勤です。子供達と会話するのは日曜くらいな状態です。なかなかよろしくありません。もう慣れましたけど。寂しくないよ。
休日出勤が続いていたある時期から、一つのルールが決まりました。「土曜日に仕事に行った場合、お土産を買ってくる」というものです。決して子供達を餌で釣ろうとかそういうことではありません。ええ、ありませんとも。下の子は卵アレルギーがあるので毎回お土産の品定めに悩むのですが、上の子へのお土産は殆ど選択肢がありません。ポケモンパン一択です。彼にとってはパンは比較的どうでもよくて、おまけであるシールの方が重要のようです。「ビックリマンチョコ」とか「仮面ライダースナック」なんて単語が脳裏に浮かんできます。まあ、ちゃんとパンも食べてるんであまり煩い事は言いませんけど。
そんなルールが定着したある週末。その週の土曜日も出勤が確定していた、そんな週末です。こんな夫婦の会話がありました。
「『パパは土曜日もお仕事なのかなあ』って言ってたよ」
ええ、お仕事なんですよ。
「『パパ、ポケモンパン買ってきてくれるかなあ』だって」
まるで仕事だと嬉しいような言い草だな。
「嬉しいみたいよ。『パパ、お仕事だといいねえ』ってにこにこしながら言ってたから」
さすがに、ちょっと、あんまりそんなこと言うもんじゃないと思うんですけど。いや、寂しくないよ。寂しくないよ。さびしくないから。