……っ……
……よし、よーしよしよし
っっっっっ、と、んんんっ、とっとっと
……!よし、っっっっっっっっ、!!!!!、あららら
たっ、だあああ、のっ、っっっっ、
よーし、よしよし

サッカー日本代表の試合が行われている頃、私はテレビの前で上記のような唸り声を上げています。具体的に先ほどのシーンを解説してみると、
「ゴール前に攻め込まれるも、なんとかカット。
そのまま大きく前へパス、カットされずに繋がる。
しかしそこで囲まれる。パスをまわしながら何とか切り抜ける。
そのまま相手ゴール前にパス。シュートを打つかと思いきやキーパーに取られる。
そのままカウンターを喰らう。マズイ状況のままシュートを打たれる。
しかしそのシュートは枠の外。胸を撫で下ろす」
といった具合です。これが試合中ずっと続きます。酷い時は二十分程度はテレビの前で唸る置物と化します。あ、たまにその置物、動きます。シュートを打たれた時に背筋が伸びるとか、シュート打つ前は前傾姿勢になって腹に力が入るとか。あと、「よしよし」言いながらやたらと頷くとか。

私の経歴の中で、未だに他人に信用されないモノの中に「実は元サッカー部」というものがあります。よっぽど運動するように見えないのでしょう。相方ですら、「小学校の頃はサッカー部だった」と話したときは驚いていたくらいです。当時を知る人間ですらこうですから、それ以降に知り合った人間に信じてもらえないのも無理はありません。

で、サッカーの試合を見ていると身体が疼いて仕方がありません。「くっくっく、身体は正直だねえ」という奴です。特に、攻め込まれている場面では、自分が守備専門だったせいもあってか、無駄に感情移入してしまいます。流石に「Jリーグ全試合観戦」なんてやると身がもたないので、テレビ観戦は日本代表戦に限っていますが。もっとも、海外で試合があるときは子供達の就寝時間に重なったり、国内で試合があるときはまだ仕事中だったりと、なかなか観戦する機会が取れなかったりもします。

二年前のワールドカップの時は、終業と同時にダッシュで帰宅を開始し、地下鉄への道はどこぞのサラリーマン達と駆け足で競争するような事もありました。当時はまだ息子も小さく、私が抱っこしながら観戦したものです。ちなみに、観戦中に私が発した奇声のせいで泣き出してしまったのは秘密です。子守りの意味ねーよ。ま、それ以降は子守りをしながら観戦する機会もないんで。もっとも、悠長にテレビ観戦なんぞしようものなら、兄弟揃っての遊んでよー攻撃を受けるのですが。

さてさて、そんなわけで先日も子供達が寝静まった後でテレビ観戦をしていました。もう夜中のいい時間なのですが、まだまだ試合は続きます。しかし、そんな私に非情の通告。
「ほら、もう寝るよ」
いいじゃないですか。サッカーの観戦くらいさせてくださいよ。食い下がる私に止めの一言が飛んできました。
「黙って見るならばいいよ」
うん、無理。聞くところによると、奇声のみならず所々に混ざる甲高い声が耐えられないそうですが、そんな事言われても出るものは出るんだし。声をあげずに観戦は無理です。はい。


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