歌が苦手、すなわち音痴であるという事は大昔にネタにしましたが、私の場合声だけでなく舌の方も駄目駄目なのです。いわゆる味音痴というやつですか。ただ、こちらの場合は特に大きな弊害というものはないのでそんなに苦労はしません。海原雄山が「店のものを呼べ」と言うような食べ物でもおいしくいただけますから。
しかし、こういう舌の持ち主を相手にすると、料理を作る側としては張り合いがないかもしれません。よっぽどのものが出てこない限り、「うまい」という感想しか出てきませんから。事実、かれこれ三年を超える結婚生活の中ではっきり「まずい」と言ったことは数えるほどしかありませんし、それも料理した本人が「これはまずい」と認めていたものばかりです。
料理に限った話ではありません。アイスだとハーゲンダッツなんて高級品より一本百円程度の普及品を好みます。プリンだと、こちらも高級品のプッチンプリンではなく三個パックなんかで売っているプリンのほうが好きだったりします。その中でも特に森永の正方形の形をした三個パックの奴がお気に入りなのですが、そこまで細かい話は置いておくとして。
高いものでも安いものでも一緒、というのは金銭面を考えると非常にありがたいものです。代用品で十分なのですから、当然コストは抑えられます。しかし、例えば駄菓子のように、安いものには合成着色料だのといった薬品が多用されていたりもします。これらの大量摂取による被害は見えないコストとなって返ってくるかもしれません。あと、高いもの、いいものが分からないことによる精神面での損害。「分からんものは分からん」で済ませていますが、それでも理解できるほうがより多くの楽しみを持てるわけでして、それを考えるといろいろと損をしているんだろうなと思います。「酒を飲まない奴は人生の半分を損している」とかと同じような考えですね。いや、別に私が酒に対して特別な価値を見出しているわけではありませんが。
さてさて。夏の暑い中、我が家の母子三名と義母は、千葉にある義母の実家に行っていました。千葉と言いますとディズニーランドがあるわけでして、当然そこにも行ってきたようです。ですが、子供からしてみるとそれよりもNHKの施設で子供番組のキャラクターに会ったことのほうが嬉しかったようで。表情やはしゃぎっぷりを見ると、どう考えてもミッキーよりも喜んでいます。ええ、安上がりです。
で、その旅のお土産として買ってきてもらったのはある紅茶でした。英国王室御用達と言われるその紅茶。しかし、現在ではとある男女の話のキーワードとして語られるその紅茶。「べノアティー」です。勿論、相方には事前に件の話を見せていたためにそんなお土産になったわけですが。噂に聞いていた紅茶が目の前にある、となると一度は飲んでみたくなるものです。くそ暑い真夏の夜ですが、我慢してホットで飲んでみることにします。さあ、その感想は。
……うん、紅茶。
相方に言わせると、「ミルクティーに凄くよく合う」そうですが、私にとっては「紅茶」でしかありませんでした。ええ、リプトンのお徳用ティーパックとの違いを見出すこともできませんでした。むしろ、「高いくせにティーパック一つで一杯しか出ないのかよ」と理不尽なことを考えていたり。駄目でした。私は、彼にはなれませんでした。