五月三十日に行われた競馬の第七十一回日本ダービーは、一番人気のキングカメハメハ号がレースレコードタイムで見事な勝利を飾りました。
このキングカメハメハ、ダービーの前は五月九日にNHKマイルカップにて勝っています。両レースともGIレース、所謂「凄いレース」「賞金が高いレース」です。実際、ダービーは賞金一億五千万円、NHKマイルカップは賞金九千二百万円と、この両レースだけで約二億五千万円ほど稼ぎ出している計算になります。
ふと思ったのですが、同じ月にGIを二勝以上した馬というのはひょっとして初めてなのではないでしょうか。気になって調べてみましたが、そういう記録ってどこで見つかるんでしょうか。よくスポーツ新聞にはそんなどうでもいいような記録がベタ記事として掲載されています。野球でいうところの「一試合で三振何個は日本初」とかそういうやつです。今回の件では「調教師は二週連続GI制覇」とかは聞いたんですけど、「同一月に同一馬が云々」というのは聞きませんでした。わざわざスポーツ新聞買うのも勿体無いんでどこかで調べられたらいいんですけどね。
さて、東京の府中ではお馬さんが一ヶ月に二度も頑張っていたわけですが、九州のとある場所では一人の男が一ヶ月に二度もやらかしていました。この男、年齢二十四歳の会社員で妻と二人の息子がいます。どこかによく似た境遇の雑文書きがいますが、たぶん他人の空似です。そういう事にしておいてください。
この男、五月十六日と五月三十日と、なんと同じ月に、それどころか半月のうちに二度も財布を落としてしまったそうです。一度目は息子と一緒に買い物に出かけていて。急に雨が降り出してきて、屋根がある場所に急ごうと息子を抱っこして走った、その時にポケットから財布がポロっと、だそうです。二度目は休日出勤から帰ってきて、国道を原付で移動中に財布がポケットからポロっと、のようです。
一度目は家の財布、二度目は自分の財布でした。家の財布には免許証は入っていませんでしたが、現金が三万程とキャッシュカード、それにリボルビング払い専用のクレジットカードが入っていました。自分の財布には大金は入っていませんでしたが、免許証とクレジットカードが入っていました。勿論、どちらの財布にもそれ以外のもの、例えばポイントカードの類だとか、割引券の類だとかは入っています。
正直言って、ある程度の被害は覚悟していました。現金のうち万札一枚とか千円札一枚とか、それくらい無くなってるんじゃないかな、でもカードがかっぱらわれて面倒な事になるのは困るなといった具合に。しかし、それがあなた、両方とも無事だったんですよ。あ、いや、その、無事だったらしいんですよ。聞いた話なんですけどね。
それにしても、紺色の財布が使い込んで黒ずんでいたおかげで本当に私の財布なのか疑われたり、「身分を証明するものを持って来い」と言われたんで保険証持参で言ったのに確認されなかったような気がしたり、「謝礼は五分から二割」なんて幅があったりするからわざわざ拾ってくれた方の前で裸銭出さなきゃいけないし、なんかいろいろありました。
「黒ずんだ財布」の件ですが、あの財布は福岡ダイエーホークス初優勝記念セールにて購入したものですからかれこれ数年使い込んでいまして、そのおかげで外側がやや黒っぽくなっているようです。言われるまで気付きませんでした。で、私が警察署にて「なくしたのは紺色の財布」と言ったせいでちょっと疑われたようです。本当にこの財布はこいつの財布なのだろうか、と。実際には中に入っていたカード類の名前などで私のものだと証明できたわけですが。
「保険証云々」は二度目の時。こちらは財布の中に免許証が入っていたので、顔写真で本人であると確認できたかもしれません。ちなみにこの財布、外で落としたのか自宅内でどっかに行ってしまったのかどうにもわからなかったので、とりあえず聞いてみようと警察署に電話したおかげで紛失と気付きました。二回目という事もあって気軽に電話できた事が勝因です。紛失した時点で負けだとか、そういう大人気ない突っ込みはいりません。電話にていろいろと聞かれていたので、その辺で判断されたのかもしれませんし、今思えば免許証の写真とほぼ同じ格好だったのも大きかったのかもしれませんが、いいんでしょうか。いいか。財布戻ってきたし。
それにしても、まだまだ世の中捨てたものではありません。今回ご迷惑をおかけした皆様、ありがとうございます。でも、もう二度と経験したくはないです。カードを止めたり、復活させたり、お礼をしに行ったり、銀行の手続きで仕事を半日休んだり。何事も経験ですが、できればこれっきり役に立たない知識と経験である事を願います。