インターネットという便利な代物が普及した現代日本。ちょっとした調べ物から遊び道具として等々、様々な用途で活用されています。私もその恩恵に与りながら、こうやって駄文を書き連ねています。それにしても、ここも開設から三年目か。早いものです。
おまんまを食べる術ですらネットに頼っている私ですが、当然家庭においてもいろいろと使われています。家の中には計三本のLANケーブルが這っており、台所で、また私が占領した部屋にていろいろと使われています。結婚当初はモデムによるダイヤルアップ接続だったということもあって相方が使用する機会はそれほど多くありませんでした。しかし、ISDNやADSLでの常時接続が行われるようになった事、また一時期仕事用に使われていたノートパソコンが業務用から家庭用になったために自分で気軽に使用できるPCを確保できるようになった事等により、相方も使用できるようになりました。
たしか、使い始めるようになった経緯は、とある宗教関係の調べ物をするようになった事ではなかったかと。ご近所付き合いとか公園デビューとかその辺のいろいろがありまして、勧誘されはしたもののどうも怪しいのではないか、調べる術は無いのかとなったのがきっかけだったと思います。そこで「googleさんに尋ねてみなさい」とアドバイスしたのが良くなかったのでしょう。ええ、検索結果にはどこぞの匿名掲示板がどっさりと。「あそこには行くな」と言ってはいたものの、好奇心は猫をも殺すという訳でして今日ではどっぷりとつかっております。本人曰く、読むだけで書き込んでないからまだ社会復帰は可能だ、だそうです。その理屈だと、俺は社会復帰不可能なんだが。
「あそこには行くな」というのは別に悪い意味ではなく、読みふけっていると時間が無くなるというだけでして、もちろん情報収集の一環としての使用ならば別に問題はありません。実際のところ、ちょっと大きめの買い物をする際にはあそこで情報収集をする、というのは普通の行動となっています。車であるとか、食器洗い乾燥機であるとか、チャイルドシートやPDAなんて物も情報収集の結果選んだ品物です。
と、こんな具合に主に情報収集の手段として活用されていたネットですが、最近新たな活用方法が加わりました。きっかけはまたも私の一言。一月頃に円相場が円高気味に振れていた時期の一言です。
「一ドルが百円程度になったら三十万円くらいつぎ込んでみない?」
円高相場というと、思い出すのは私の学生時代。一ドルが百円どころか八十円程度まで急騰した頃もありました。それからしばらくすると今度はぐぐっと円安になってしまって一ドルが百円どころか百二十円なんて事に。八十円が百二十円ということは、単純計算で1.5倍です。三十万円つぎ込んでいたら、放っておくだけで四十五万円に。低金利だの年金がどうのだのという現在、こんな手段を放っておくわけにはいきません。
相方も乗り気でした。そりゃ、普通に銀行に預けておくより圧倒的に得なのですから目の色も変わろうというものです。とりあえず、税金の都合とかいろいろと考えて相方名義で口座を開設。円相場がもうちょっと頑張るまで待つ事にしました。
待つ事にしたんですが、相方は待てなかったようです。ある日、帰宅した私にこんな言葉がかけられました。
「練習ついでにカナダドルを買っちゃった」
……ま、まあ、練習ですからいいでしょう。相方曰く、周期的に変化していて今は買い時だ、ちょっとしか買ってないから大丈夫、と。事実、数日後には円に戻す事によって数百円の利益を得る事になりましたので、問題ないと言えば問題ないのかもしれません。ですが、どうも相方、面白さを見出してしまったようで。
それから数日毎にちょこちょこと報告を聞く事になりました。
「イギリスのポンドが……」
「オーストラリアドルが……」
「ドイツのマルクが……」
いや、待て待て。何故そこまで手を広げる、という私の意見は黙殺されました。相場傾向からすると、もうすぐ上がるから大丈夫、とか。いや、大丈夫ってあんた。しかも、本当に大丈夫だったから文句も言えないし。
為替取引きというものは株取引と違い、大火傷はしないと考えられます。株取引だったら株券は紙くずになる危険がありますし、先物取引に至っては突っ込んだ額以上の損失を被る場合もあります。それを考えると、数%単位の変動で済んでいる為替で治まっている現状は喜ぶべきなのかもしれません。しれませんが、どうも暴走気味のような気もします。先日の会話からもその傾向が伺えました。円高相場はどこへやら、一ドルが百十円を超えて円安気味になっていた時期です。
おーい、そろそろ寝るぞー。
「もうちょっと待って。あと十銭円高になったら米ドル買って終わるから」
米ドルって、今百十円越えてなかったっけ?
「今百十一円ちょっと。百十円台になったら市場介入とかで明日には百十二円になるから」
待て待て、何故そんな短期の利益を求めますか。
「だってー、百円くらいの利益になるんだよ」
私の構想としては学資保険みたいな扱いで年単位で塩漬けにするはずだったんですが。日々の買い物と同じように十円二十円で汲々としなくても、どっしりと、のんびりと待つ予定だったんですけど。まだ火傷してないからいいんですけどね。だからこうやってネタにできるし。それにしても、当初の構想はどこへやら。「火傷が大火事になりました」なんて事にはならないようにしたいものです。