自転車やバイクといった二輪車は、ハンドルで前輪を操作して進行方向を決めます。後輪を操作して進行方向を決めるバイクなんざ聞いた事がありません。そんなもの実際にあったらどうやって操作するんだ。やっぱ、曲がりたい時は思いっきり尻を振って曲がるんでしょうか。急カーブなんか大変でしょうな。短時間で何度も尻を振って。痔を患ってる人は絶対に乗れそうにないですな。
ハンドルで進行方向を決めるという事は、前に進みたい時は当然タイヤを前に向けて走らせます。右に曲がりたい時は右に、左に曲がりたい時は左にタイヤを向けて曲がります。後ろには進みません。二輪車は前向きですから。一部の元気なお兄ちゃんたちは、前に進むためにも右に曲げたり左に曲げたりとなかなか忙しい運転をされていますが、とりあえずここでは触れません。なんか面白い事を書こうと思ったけど何も浮かばなかったと言うのは秘密です。
私は毎日の通勤に電車とバス、それに原付を利用しています。自宅から駅までが原付、そこから仕事場までは電車とバスを乗り継いで。自宅と駅はそれほど離れていないので徒歩や自転車でも何とかならない事はないのかもしれませんが、そうするとせっかくの原付がただの置物になってしまいますので。わざわざ今の家に引っ越してきた時に、相方の実家から届けてもらったんですから。かれこれ七年程度乗り続けていることになるのでしょうか。私が乗るようになってからは三年。もうしばらくは動きそうです。
原付の日々のお手入れはそう多くありません。ガソリンが無くなれば走らないのでそれはともかく、エンジンオイルが無くなった際に補給する程度。風雨に打たれてついた汚れは水でもかけておけば取れるのでしょうが、それすらもされないままです。特に、現在の季節は冬。寒いのに屋外で水仕事なんてしたくありません。そもそも、そんな楽しそうな事を始めたら長男が飛んで来てホースを奪ってしまいます。大掃除の時、彼は家の窓ガラスと車を洗う際にずっとホースで水をかけてました。もちろん、かけた水の二割程度は自分が浴びていたため、翌日は体調を崩す始末。洗濯物は増えるしで大変だったようです。
そんなこんなで酷使されていた原付ですが、先日ある個所の具合が悪くなりました。その場所とは、タイヤ。空気が抜けてしまってブヨブヨになってしまいました。こうなると非常に乗りづらいんです。加速は悪い、曲がろうとすると滑る、音がうるさい、何より美しくない。寒いんでとっとと帰りたいのですが、事故に遭うほうがいやなので会社からの帰りにガソリンスタンドで空気を入れることにしました。
駅に戻ってきた時点で、既にタイヤはぺったんこ。乗り辛さに悪態をつきながらガソリンスタンドに向かいますが、いや、これがまた、うまい事走らなくて難儀してしまいました。こちらはまっすぐ走りたいのにタイヤはあっち向いてしまったり、曲がろうとするとずりーっと滑ってしまったり。しまいにゃ、斜めになりながら国道を走るはめに。普通の二輪車が走る状態を「|」という文字で表すとしたら、その時の私が走る状態は「/」といった感じです。よくもまあ、ちゃんとまっすぐ走るものです。いや、斜めだから「まっすぐ」ではないのかもしれませんが。
深夜の国道を、何故か斜めになって進んでいくというのは傍から見ると凄く怖いものなのかもしれません。想像してみてくださいよ。黒いヘルメット、黒いコート、黒い手袋、黒い靴。原付そのものが黒くないのは残念ですが、とにかくそんな原付が、何故か斜めになってゆっくりと進んでいる。斜めになってるんで何をふざけているのかと思いきや、乗ってる人間は大真面目。幸い、あの時は後続車も対向車もいませんでしたが、ねえ。