もう夏だというのに今更な話ですが、春先にとあるものを買いました。田舎で子供を育てるには必要不可欠ともいえるもの。車です。
ちょっと背伸びして「新車を現金一括購入」なんて事をやったので、購入した翌月はお小遣二万円引きという事になってしまったのですが、それはさておき。それまで所有していた車は、軽自動車とほぼ同サイズの小さなものでした。これでは、子供二人を乗せるにはちょっと苦労します。子供が一人しかいなかった時でさえ、トランクに三輪車を積んだらそれ以外の荷物はほとんど載せられないというのに、さらに子供が増えてベビーカーも載せなきゃいけないとなると、人が乗るスペースがありません。
主な原因は、ここ数年で義務化されたチャイルドシートの存在です。大人一人分以上のスペースが必要となるチャイルドシートを載せなくてはいけません。私が子供の頃であれば、乗用車の後部座席には子供三人が楽に乗車できたものですが、今ではチャイルドシート二つで一杯です。
そんな事もあって、子供が増える前に大きめの車に買い換える事にしました。七人乗りのミニバンタイプです。もう、広くて広くて。トランクにはベビーカーと三輪車を載せてもなお若干の余裕があります。たとえトランクからあふれるほどの荷物があったとしても、三列目の座席をトランク代わりに利用すればなんの心配もありません。
また、車自体が全体的に大きくなったため、運転もしやすくなりました。今まではアクセルとブレーキを踏み返るたびに膝がハンドルに当たりそうなくらいでしたが、今度の車ではそんな事もありません。座席を後ろの方に下げればベストポジションに辿り着く事ができますし、また、座席を下げすぎて後ろから苦情が出ることもありません。ええ、今までは限界まで下げると後部座席から苦情が出てたんですよ。「狭い」って。
前回の車が中古車、そして今回の車が新車という事で、いろいろと新しい装備もありました。まずはお約束のキーレスエントリー。あの、ボタンを押すと勝手にロックがかかったり解除されたりしてくれるやつ。今までの車には付いてなかったんですよ。いやいや、便利ですな。右手に米10kgとらっきょう1kgに牛乳二本、左手に長男13kgを抱えていてもボタン一つでロック解除。昔だったら一旦全ての荷物を降ろさなければいけませんでした。
もう一つが電動スライドドア。これ目当てで今の車を買ったようなものです。ボタンを押すと、自動的に後部座席のスライドドアが開いたり閉まったり。ボタンを押さなくても、ほんのちょっとだけドアをスライドさせたら、そこからは自動的に開いたり閉まったり。子供が悪戯するというのが難点ですが、これがまた非常に便利です。荷物を持ったり、子供を抱っこしたままドアを開けられますから。
電動スライドドアにはもう一つの使い方があります。産婦人科に検診に行った相方を迎えに行く時にやってみたのですが、立ち止まっている相方の前に車を止めてスライドドアのスイッチオン。すると、自分が何もしなくても勝手にドアが開いてくれる。まるで偉くなったようだと、体験した相方が力説してくれました。私も偉くなってみたいんですが、なかなか迎えに来てもらうというチャンスがありません。
以上の二点は機械的な新装備ですが、これ以外にも私のお気に入りとなった新装備があります。今までの車にはなかったもの。使うとちょっと偉くなった気分になれるもの。それは何か。
『肘掛』です。
いや、冗談ではなく。
ちょっとしたドライブの時なんかでも、ずっとハンドルを握っていると腕が疲れてくるんで肘掛に腕を置きながら運転したり。だんだん身体全体が斜めになって、だらけた格好になることが難点ですが、これはこれで偉くなった気分になれてよろしいです。カー用品店なんかにも売ってたりしますが、やはり後付けよりは標準装備のほうが得した気分になれます。「わざわざそんなくだらない物に金を出す気になれない」というのもありますが。
車が大きくなって、家族とのドライブも楽々……はいいのですが。そのドライブをする暇が全くないというのはいささか悲しいものです。しかし、実際に暇になるとついついゴロゴロとしてしまう。家族サービスも楽ではありませんが、「家族サービスしたい」と思っているうちがいいのでしょうか。