「夏の風物詩」という言葉から、どのようなものが連想できるでしょうか。青い空、白い雲、セミの鳴き声、水着のお姉ちゃん。いろいろなものがありますが、その中に「かき氷」というものがあります。

氷を削り、その上に様々な色のシロップをかけて食すかき氷。小さな子供は大好きです。ご多分に漏れず、私の息子も大好きです。「こおり、たべるー」「いちご、たべるー」とねだってきます。

コンビニやスーパーに行けば、それなりの量のかき氷が60円ほどで買えますが、まさか毎回買ってくるわけにはいきません。そんなわけで先日、我が家はかき氷機を購入しました。氷を入れ、ハンドルを回すとかき氷が出来上がるという、シンプルな機械です。1000円でお釣りが来るくらいの安いものですから、一夏使い続ければ十分に得をしたと言えそうです。

かき氷にはシロップも重要です。最も基本的ないちご、ちょっと高級感があるメロン、そして魅惑のブルーハワイ。シロップに加えて練乳をかけたり、あんこを乗せたりする事もあります。

私も、そして相方も、小さな頃は自宅のかき氷機でかき氷を食べていました。冷凍庫から氷を取り出し、かき氷機に入れてハンドルをがりがりと回す。ここまでは一緒ですが、この先、トッピングが両家では異なっていました。

相方宅の基本はシロップのみ。シロップはあるものの、それ以外はあまり無し。練乳は貴重品という位置付けだったそうです。それに対して我が家は。シロップが無い場合があるものの、たまに練乳、あんこもあるよという、どちらも一長一短な状態でした。

「『シロップ無し』ってどんなかき氷なんだ」と思われるかもしれません。簡単に説明すると、シロップの代わりに砂糖を乗っけるんです。ええ、台所にある三温糖を。あの、ちょっと茶色い奴。いやいや、あれがまた貧乏臭くて。たまにシロップを購入した時なんか、非常に嬉しかったものです。「やったよ。今日は色付きだよ」と。

あれから20年。世の中の生活水準が向上したのかどうか知りませんが、とりあえず我が家にはイチゴのシロップと練乳が常備されています。贅沢です。私から見ても、そして相方から見ても贅沢です。贅沢なんで、練乳は夜中に子供達が寝静まってから、相方と二人で食べる時のみ使用することになりました。「大人の贅沢」というやつです。そんな訳で、まだ息子は「練乳かけ氷イチゴ」の味を知りません。まだ教えてあげません。

その日の夜も、私は練乳かけ氷イチゴを食べていました。相方は昼間に息子と一緒に食べたせいか「いらない」と言ったので、一人で食べていました。ぱくぱくきーんと、あの頭痛と一緒に練乳の甘さも味わいました。

で、食べてるうちはよかったんですけどね。その日は雨が降ってたせいで、気温もそんなに高くなかったんですね。それで、かき氷食べたら寒くなってきちゃったんです。もう風呂も入ってしまったし、あとは寝るだけだし。しかし、寒い。どうしようか。

あんまり寒かったんで、毛布をかけて寝ました。九州にて。7月も中旬になろうかというこの時期に。もうすぐ夏休みというそんな時期に。なんと言いますか、夏の風物詩に「毛布」はないだろうとも思いますが、その翌日もこの寒がり大王は毛布に包まって寝るのでした。


トップ 一覧 前の雑文 次の雑文