時事ネタです。いや、本当に。技術屋の方ならば「時事ネタ」で「美乳」なあたりで大体想像がつく事でしょうが、そういうネタです。

Microsoft社から新しくリリースされるOS「Windows VISTA」、そしてブラウザ「IE7」。日本中の技術者の多くが、これらを前に頭を抱えている事でしょう。自分達は新しい物を使う気が全くないとしても、顧客が使う可能性が多少なりとも存在するのであれば使ってみなければなりません。今までに作成したソフトウェアなり、現在展開しているサービスなりが使えなくなると偉い人から怒られてしまうからです。私も先日から専用の検証機で性能調査を行っています。「マウスじゃなくてタッチパッドだからしこたま面倒くさい」とか、「HomeキーやEndキーが実質存在しないから作業効率半分以下」とかいろいろ言いたい事はありますが、かと言って検証機を自分好みにカスタマイズしてしまうと、今後VISTA絡みの検証作業が自分に降りかかってしまうのでぐっと我慢しなければなりません。

今回、OSが新しくなる事で一番厄介な事。それは、「文字コード体系の変化」です。一般にはあまり知らされていないようですが、例えば一部の文字の形状が変化しているとか、一部の文字が使用可能になったとか、そういう事です。「迄」という文字の部首、しんにょうが点一つから点二つに変わるとか、そういう変更が行われています。また、「尻」という文字の「九」が「丸」になった文字なんかも追加されています。で、それらをブラウザから入力してデータベース（DB）に格納、それを再表示なんてした際にどれだけ文字化けやらの影響が出るか、なんて事を調査しなければなりません。新しく入力可能になった文字を入力してその文字のみが文字化けした、なんて場合はまだいいのですが、前後を巻き込んで文章丸ごと文字化けとか、酷い場合には今までは発生しなかったエラーなんかが表に出てきたりもします。本格的にVISTAが使用されるまでにある程度問題を解消しておかなければいけないのですが、まあ面倒くさい事。「これ絶対日本のどこかで誰かが同じ物作ってるだろうなあ」と思いながらの作業なので、なかなかテンションが上がりません。私の作業パターンだと、ちんたらしながら波に乗るのを待ってそれから一気に仕上げていくので、波に乗れないとなかなか作業がはかどりません。

で、もう一つの問題がIE7。かつてIE4のあまりの描画の遅さにネットスケープへと移行しFireFoxに流れ着いた私としては、IE系列のブラウザを使う機会なんて仕事くらいしかないのですが、仕方ないので検証作業をしなければいけません。で、このブラウザ。たまに画面が表示されません。正確には、表示するべきデータそのものは受信しているけど、何故かブラウザがそれを表示しない状態。表示されていないデータを送信したりはできますし、再読み込みなんかをすると正常に表示できるのですが不便な事には変わりありません。何かいい解決策はないものかとネット上をいろいろ探していたのですが、似たような症状でお悩みの方も大勢いるようです。この辺りで自分が作った機能に問題があるわけではないという事がわかってほっとしましたが、それで問題が解決するわけでもありません。

さらにいろいろと調べていった結果、ついに私が望む解決策に辿り着く事ができました。その方法とは。「HTMLのソースの中に『美乳』という文字を埋め込む」これです、素晴らしい。全国一千万人の同じ問題に悩む同業者への福音です。やはりおっぱいは世界を救うのです。ビバ、美乳！ビバ、おっぱい！！

こほん。いや、何も冗談で言っているわけではなく、これにはちゃんとした根拠があるのです。この画面が正常に表示されない問題、これはどうも文字コードの識別辺りが怪しいようなのです。実際、この現象が起きているのは文字コードが「EUC」である画面が殆どです。どうも、EUCであると識別しなければいけないのにそれをブラウザが正確に判断できず、結果として何も表示されないようになっているようなのです。ではどうすればいいか。EUCと認識しないのであれば、強制的にEUCであると言い聞かせてやればいいのですが、それを解決するのが「美乳」という文字列です。「美」という文字、そして「乳」という文字。これらをEUCの文字コードで表現する場合、それぞれ「0xC8FE」「0xC6FD」です。これは日本語の文字コードとしてよく使われるShift-JISでは使用されない範囲に含まれます。そのため、強制的にEUCであると認識させる事ができるそうです。この手法は昔から「おまじない」として知る人は知る程度のテクニックとして存在していたそうです。勿論、同様の効果を期待できる文字列もあります。「雀の往来」とか「龜」なんて文字がそうなのですが、ここはあえて「美乳」を使うのが漢というものでしょう。むしろ、使わなければなりません。この単語が条件に一致したのは偶然なのでしょうか。偶然ではありません、必然なのです。これは神の意思なのです。何の神様かって？そりゃ、勿論おっぱいの神様でしょ。存在するのか知らんが。

という訳で調査結果の報告です。何といっても会心の解決策まで提示できるのですから気分は最高です。

調査終わりましたー。あと解決策も見つけました。
「おお、ありがと。で、解決策とは？」
はい、システムの名前を「美乳システム」にしましょう。

というやり取りがあったかどうかはさておき、「HTMLのソースに『美乳』という文字を埋め込む」という手法は本当に提案しました。ちゃんと文字コード表も見せながら。さすがにこの案が本採用になるとも思いませんが、そういう遊び心がないとやってられません。いいじゃん、どうせ誰もソースの中なんて覗きやしないんだから。ユーモアですよ、ユーモア。え？セクハラ？