昨年は合計で六件もの結婚式に出席しました。親類一件を除くと残りは全て友人関係。私の友人が二人、奥さんの友人が三人です。二十代後半になって頃合がよくなったのか待った無しになったのか知りませんが、とにかく怒涛の如く片付いていきました。ご祝儀も怒涛の如く出て行きました。

まあおめでたい事ですので仕方ありません。「俺はご祝儀貰ってないんだよなあ」とこれ見よがしにつぶやいてみる事も可能ではありますが、「へえ、そうなんだ。残念だったね」と返してくれる友人達ばかりです。いやあ、優しい友人を持って僕は幸せだなあ。ははは、畜生。

んで。結婚が立て続けに起こると、そのしばらく後に立て続けにやってくるものがあります。いや、離婚じゃなくて。出産ですね。私の周囲でも、一昨年結婚した誰某が妊娠何ヶ月とか、去年結婚した誰某がこないだ出産したとか、そういう話がいろいろ出てきます。こういう時、持ちネタを持っている人間は便利です。結婚して一年も経たずに出産した人間相手には必ず、「デキ婚なんてふしだらな」とかそういう一言を言えます。勿論、「お前が言うな」という返しを期待して。ちゃんと返ってこないと不穏な空気が流れかねないのが欠点です。今の所、殆どの人たちがちゃんと返してくれるんで問題ありませんが、そろそろ皆飽きてきたんじゃないかとも思います。

既婚者が急増した今年の正月は、「私達結婚しました」形式の年賀状が急増しました。あれも結婚、これも結婚と、どの葉書からも幸せの笑みがこぼれております。一応お約束どおり、葉書を見ながら「ふっふっふ、その笑みがいつまで続くかな」とか呟いてみるのも忘れません。あ、いやいや、結婚っていいものですよ、ええ。殺気なんて感じてませんよ、ええ。

その年賀状も、これから数年は「家族が増えました」とか「家族がこんなに大きくなりました」とかいう内容に移行していくと思われます。実際、昨年末や今年夏には友人宅の家族数が増加する、もしくはしたわけですし、今頑張っても年内に間に合います。中には頑張っても結果が出ていない友人もいるようですが、「じゃあ、俺が手伝ってやろう」と言ったら丁重に断られました。善意なのに。やだなあ、下心なんてないですよぐへへ。

新しい世代が誕生すると、古い世代が去っていくのは自然の摂理です。昨年は冠婚葬祭の中の「婚」が集中したわけですが、これからは「葬」が徐々に増えてきそうな気配がしております。実際、今年に入ってから既に身内の「葬」に立ち会っております。平均寿命が延びているとは言え、人間いつかは死ぬもんです。「それ」がいつやってくるかは分かりませんが、よっぽど急でもない限り周囲の人間はある程度覚悟しておく必要があります。

お屠蘇気分も抜けないうちに、父方の祖母が亡くなりました。私の両親は先に移動し、私は私の家族と妹達、そして母方の祖母と共に葬儀だけ参列する事になりました。その車内での会話。私は運転しており、妹達は祖母の話し相手になっていました。笑いながら喋る祖母の声が聞こえてきます。
「今度はうちのお爺ちゃんかもしれないねえ」
いやまあ、祖父は祖父で大分足腰が辛い事になってて半ば寝たきりではあるのですが。今回も体力的に移動が堪えるであろうという事でお留守番となっているわけですが。しかし婆ちゃん、年寄りのブラックジョークはなかなか来るよ。妹なんか、どう返したらいいのか困ってるじゃないか。


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