引越し後に大切なことというと、それまでの生活のリズムを如何に保てるか、ということがあります。
仕事場までの距離が変わると起床時間が変わり、そのために就寝時間までも変えなければなりません。仕事場までの移動手段が変わっても起床時間やらが変わります。今回の引越しでは、仕事場までの物理的な距離は大きく縮まりました。しかし、それまでは最寄り駅始発の電車で通勤していたのが、ギュウギュウ詰めのバスでの通勤に変わりました。これは痛い。何が痛いって、二度寝の時間がない事が痛い。電車では「だいたいこの時間に行けばこの電車のここらへんの席に座ってしばらく眠れる」というのがありましたが、満員のバスでは立っているだけでも一苦労。雨なんぞ降った日には乗客全員が負のオーラを発しています。そんな空間で眠れるはずがありません。かくして、「通勤時間は短くなったけど、睡眠時間的にはマイナス」という珍妙な事態となっております。
食生活の方も試行錯誤が続いています。奥さん曰く「安い肉や野菜がなかなか売ってない」そうで。今までは近所にそれなりのお値段の店が数件あったのですが、引越し後は駐車場の問題だとか、店舗そのものの大きさだとか、あとは質を優先したがために値段が割り増しであるとか、そういうあちらを立てればこちらが立たずという事態となっております。
食生活に関してはいつも奥さん任せなので、「肉が高い」と言われても「はあ、そうですか。高いのですか」としか返せません。豚バラ肉ブロックがいくらだった、と言われても今までの値段を覚えていないので比較ができません。これが鶏卵だとか牛乳だとか鶏胸肉だとかだと今までのお値段を覚えているので「ああ、高いねえ」とか「これはまだ許容範囲じゃなかろうか」とか言えるのですが。ただ、キャベツみたいに乱高下するようなものだといくらが適正価格なのか分かりません。分からないからお使いに行って「キャベツが298円だったから買ってきたよ」と言ってお説教されたりします。
「あれが高い、これが高い」ならば妥協のしようもありますが、「あれが売ってない、これも売ってない」だとどうにもなりません。我が家では結婚後しばらくしてから、夕食の一品としてサラダが出てくるようになりました。既に経緯は忘れましたが、多分緑黄色野菜を摂取してどうのという事だったのではないかと。で、いくつかのドレッシングを経て、我が家の冷蔵庫に常備されるようになったのがケンコーマヨネーズ社の「神戸壱番館 和風生野菜ドレッシング」という製品です。若干味が濃い目だとか、若干酸味や辛味が強いので口内炎発生中は食えたもんじゃないとか、一般的なドレッシングと比較してお値段高めとかの問題はありますが、うまいものはうまいんで仕方ありません。長男もいつのまにやらこの味に慣れてしまって、在庫不足で他のドレッシングを使ってみたときも「いつものドレッシングがいい」というくらいです。
このドレッシングの最大の欠点が「売っている店が少ない」事です。全国大手のあの会社のドレッシングや、地場大手のこの会社のドレッシングはどこの店に行っても見かけるのですが、お目当てのドレッシングはなかなか見当たらない。引っ越す前ですら、このドレッシングを扱っていた店は一箇所しかありませんでした。引越し前に新居近くの店を回ってみたり、また引越し後にも帰宅途中に片っ端から寄り道したりと頑張ってみましたが、どこにもドレッシングがありません。引越し前日に「念のため」とドレッシングを三本買いだめしておいてよかったと思いました。
が、いくら買いだめしておいても毎日消費している以上、いつかはなくなります。このままだと以前の住居の近くに行かないといけません。通販も考えましたが、「わざわざ数本のドレッシングのために通販なんてするな」という至極ごもっともな突っ込みの前に断念。「いやほらまとめて半ダースくらい」と言い返すものの「賞味期限を考えなさい」と言い負かされました。幸い、三本目を消費する前に売っている店を発見できたからよかったものの、もしその店から撤去されてしまったらお手上げです。かと言って、近所のスーパーの「お客様の声」あたりに頼み込むのも気が引けます。頑張っても月に数本しか消費しないドレッシング。わざわざそんなものを置きたがるような酔狂な店もそうはないでしょう。かくして、今日も私は頑張ってドレッシングを消費します。定期的に購入していれば店頭から撤去されないのではないか、と期待して。「もうちょっと節約して使いなさい」と怒られながら。