「震度六弱の地震を直接体験した」というと、なんとなく「未曾有の大災害を生き延びた」みたいな感じがしますが、実際のところどうかというと皆さんご存知のとおり。全国のニュースからは殆ど忘れ去られ、未だに続く余震も「ああ、また揺れたね」程度で済まされています。やはり目に見える被害がないといかんのか。火事がたくさんとか、怪我人がいっぱいとか。鉄道が止まったりしたのである程度経済にも影響があるんでしょうが、同じ交通網停止だと「積雪一センチ」の方が遥かに大きな被害が出たことでしょう。となると、「震度六弱の地震より一センチの積雪のほうが強い」という結論になります。どういう比較だ。
いや、もうあれから一ヶ月も経って結構どうでもよくなってきたんですが、捨てるにも惜しいような小ネタがあるんで、せっかくだからちょっとだけ。
・ブロック塀
地震から半月ほど経過したある日、隣家と我が家の境にあるブロック塀がなくなりました。その数日前からブロック塀に「危険」と赤書きして、さらにロープで近寄れないようにしてあったんで、おそらく地震の影響で崩れそうになっていたのではないかと思います。何にせよ、朝までは存在していたブロック塀が、帰宅するとすっかりなくなっている、というのはちょっとビックリしました。
これを一番喜んだのは長男でした。お隣に簡単に遊びに行ける、という事で、幼稚園から帰ってくるなりお隣のお兄ちゃん達と遊んでいるそうで。すぐに元通りになるのかと思いきや、一週間ほど経過した現在でもブロック塀は取り壊されたまま。特に害があるわけでもなし、息子のことも考えるとそのままでもいいのかもしれません。お隣にしてみれば迷惑かもしれませんが。
・水
地震の直後に被害状況を調べたときは気付かなかった事なのですが、我が家で使用している井戸水が濁っていました。どうやら地震の影響で泥が混ざってしまったようで。おかげで地震直後は風呂や料理に難儀することになりました。料理にはミネラルウォーターを使用することもできますが、「ミネラルウォーター風呂」をやるとなるとちょっと気が遠くなるくらいのコストがかかります。かと言って、近所に銭湯の類もありません。仕方なく泥交じりの湯に漬かる事となりました。数日経過して大分透明度も高くなりましたが、先日の余震で再び濁ってしまいました。また数日は泥湯で我慢することとなりそうです。
・余震
きっかり一ヵ月後に大きめの余震が二連発。一発目は早朝だったんでまたも布団の中での出来事でした。もう子供達も慣れたもんで、「地震があったらお布団の中に隠れる」という事を学んでいます。特に大きな被害も無さそうだし、起床時間にはまだ早かったんでそのまま二度寝しました。半分寝ぼけていたんで「それほど大きい地震じゃない」と判断したせいです。
起きてからテレビのニュースを見てみると、結構な震度だったようです。台風や大雪など、存在価値を高めるべきときに限ってサーバがダウンする九州のりものInfo.comですが、早朝だったせいか、それともはっきりと予想できるせいか、幸いなことに接続できたんで調べてみましたが、案の定、電車が動いていません。「どうせ電車は動いてないんだ。遅刻も糞もあったもんじゃない」と思いながらえっちらおっちらと駅まで自転車で移動。日常より一時間半遅れで電車は出発しました。
そして次の駅に着く直前に再度大きめの余震に見舞われるわけですよ。駅員も乗客もあきらめ顔です。それ以上にやってられないのが点検担当のおっちゃん達でしょう。二時間以上かけて線路に異常がないことを確認。ホッとしながら休憩、ビールなんか飲んじゃった人もいるかもしれません。そこで見事なタイミングでグラっと。
私のようなサラリーマンだと「いやー電車が動かなくって、運が悪かったみたいですよ残念だなー」と見事な棒読みで済みますが、おっちゃん達は半泣きだったのではないかと。何もわざわざ全部終わった後に揺れなくてもいいじゃないか、と。そんな気持ちなんじゃないかと勝手に想像してました。ちなみに、当日は結局仕事場に到着したのは昼過ぎ。合法的に半日サボれる事となりました。
いやいや、仕事したかったんだけど、地震がねー。残念だなー。でも天変地異だから仕方ないよねー。