2002年末。私の地元ではいろいろな事がありました。まずは12月中旬頃の全国高校駅伝。正確には地元ではないのですが、地元荒尾市の隣、福岡県大牟田市の大牟田高校が三位になりました。高校受験の際、滑り止めとして合格はしていたので、当時気を抜いていたら「母校である」と言っていた事になります。気を抜かなかったからちょっと他人事みたいになってますが。だって、「大牟田高校は駅伝が強いから、普通の生徒も年に二回マラソン大会がある」という妙に信憑性のある話が当時の私の耳に入ってきまして。どうもガセみたいだったんですが、長距離走嫌いの私にとってはいい発奮材料となってくれました。
「第一志望に落ちたら年に二回もマラソンを走らなければいけない」
それだけで頑張れるのだから安いものです。

12月下旬には全国高校ラグビー大会。こちらは地元の荒尾高校が熊本県代表として出場していました。「熊本県代表」「荒尾高校」「全国大会」「冬」これらのキーワードが並ぶと、十年ほど昔の荒尾高校サッカー部の事を思い出します。当時の私は小学生だったでしょうか。荒尾高校サッカー部が全国高校サッカー大会に出場しました。当時は私もサッカー部。地元の高校が全国大会に出場する、ということでテレビの前で応援していました。結果は一回戦でPK負けという惜しい結果でした。惜敗であり、責められるような事はないと思うのですが、大会終了後、責任をとってサッカー部全員が丸坊主になった、という噂を聞きました。又聞きであり、直接見たわけでもないので何とも言えません。本当らしいんですけど。

で、(今回も初戦負けなら丸坊主かな)といらん心配をしていました。が、私の心配をよそに初戦は見事な逆転勝ち。残念ながら次の試合で逆転負けをしてしまいましたが、前回と違って一度は勝っています。丸坊主はないでしょう。よかったよかった。

何で今回はあまり他人事ではないのか。現在の高校三年生と私の年齢ですが、五歳ほど離れています。五歳というと、小学校の六年生と一年生の差です。年明けに同じ小学校の同級生でもある友人と話してみました。

荒高ラグビー部って頑張ったよな。
「ああ、あいつの弟とかだろ」
で、だ。ちょっと気になる名前もあったんだけどさ。
「ほう」
○○ってんだけどさ、お前の近所にいなかったっけ?
「ああ、いたいた。昔は一緒に遊んだよな」
『先制トライを決めてどうの』とか新聞にあったぞ。
「何!?」
本人なのかなぁ。
「当時からは想像もつかないけどなぁ」
でも、俺らの中学校の校門前にも名前出てたんだよなぁ。
「じゃ、やっぱり本人なのかな」

自分達が一緒に遊んだ事がある人間が、新聞のスポーツ欄で好意的に書かれている、というのはちょっと珍しい経験でした。新聞のスポーツ欄といえば、年明け数日後に「プロ野球近鉄中村 荒尾市陸上競技場で始動」なんてニュースもありましたが、あれは全く身近でないのでパス。毎年やってるらしいけど、毎年忘れてるくらいです。私が近鉄ファンである、とかだったらまたちょっと違うんでしょうけど。

さて、これらの話題を差し置いて、年末の我が実家、そして友人達にとって最も大きな出来事がありました。荒尾市長選挙です。
……あ、そこ。あきれない。地方の田舎都市にとって、こういう選挙というのはちょっとしたお祭りです。しかも、それからしばらくの生活をも左右するお祭りです。もともと建設業を営む我が実家にとって、「勝馬に乗れるかどうか」というのはかなり重要な事です。さらに、現在では市役所に勤める友人なんかもいるので、「経費削減」なんかは彼らの財布を直撃します。まあ、このへんはあまり真面目に語ると疲れるんでこの辺で。簡単に自分の意見を述べると「金が無いなら我慢しろよ」ということでしょうか。

小学校の頃は、「誰それが落ちた」とか「誰それは当選した」とかだけで済みました。冷静に考えるとなかなか嫌なガキ共ですが、それもこれも小学校横の文房具屋の親父のせいです。かの親父、私が小学生の頃の市議選に出馬したもののただ一人落選、それからしばらくは物凄い仏頂面であった事で有名です。そんな親父がいれば多少は選挙にも興味が湧くというものです。「是非とも俺もあの親父を落選させる手助けをしたい」という夢は適わないまま引っ越してしまったがために、結局荒尾市の地方選挙は一度も経験しないままですが、いろいろと耳には入ってきます。今回の市長選挙は主に私の父からいろいろと話を聞きました。冗談交じりではあるとおもいますが、「応援している方が負けたら民間の仕事を増やさないと食っていけないなぁ」とか。つまり、あれです。勝馬に乗らないと公共工事のむにゃむにゃがふにゃにゃ、という事らしいです。(オトナノセカイッテキタナイワ)という感想も浮かんできますが、無難に「民間の仕事増やす前にとっとと自宅の水洗便所の工事をやりたまえ」と突っ込む程度にしておきました。

勝馬に乗ったかどうか、という事は伏せたまま、荒尾の年は暮れていくのでした。年が明けて半月近くたってからそんなフレーズを使うのもどうかと思いますが、そう言えば去年も新年の挨拶は今頃だったわけでして。ネタの仕込みが遅いなぁ、俺。


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