私の母校、某高専の近くには一軒のお好み焼き屋がありました。1000円ほど出せば3人分の大きいお好み焼きを焼いてくれるこの店、学生時代には度々お世話になりました。実家からそれほど離れてもいないので休日なんかに食べに行く事もできたんですが、なんとなく一人で行ったことはないまま。何人かで集まってしか行った事はありません。
15歳から20歳の野郎というと、結構どかどかと食物を摂取する事ができます。その店のお好み焼きは値段を考慮すると充分満足が行く量、かつ、味のほうも文句はありませんでした。今でも、こうやって文章を書いていると食べたくなってきます。今まで、飲み会なんかで「ほら、このお好み焼きは美味いだろう」と言われて幾つか食べてみましたが、私の舌が下した裁定は「あの店のほうが美味い」でした。でも、顔には出さずに「まあまあですね」とか。本音と建前って大切ですね。
何が美味いのかと聞かれると返答に困ります。評論できるほど他店のお好み焼きを食べたわけでもありませんし、もともと食べ比べに適した舌を持っているわけでもありません。貧しい舌ですから、よっぽど不味いものを食べない限りは「美味い」という判定をしますが、それでもあのお好み焼きは別格です。友人達と仲良く食べた思い出が美化されているのか、それとも私の舌に合っているのか、答えは分かりません。
ここ数年では数えるほどしかあのお好み焼きを食べていません。現在は私が地元からはちょっと離れたところに生息しているため、「お好み焼きを食べたいから」という理由だけで移動するのはつらいものがあります。かと言って、何らかの理由で帰省した時は色々と忙しくて食べに行く暇がない。せめて現在の居住地近郊に出店してくれれば食べに行く事もできるのですが。最も近い店舗まで高速道路を使っても一時間以上かかるというのでは話になりません。かと言って、近くに出店したところでなんやかんやと理由をつけて行かないかもしれません。
先日、地元でそのお好み焼き屋の看板を見かけました。ぼろい店でしたが、支店が何箇所かある程度には繁盛している店です。ちょっと大きめの看板があっても不思議ではありません。ええ、不思議ではありませんとも。その看板の下のほうにURLが書いてないのなら。
そりゃ、ね。IT革命な世の中ですから、田舎のお好み焼き屋がホームページを持ってても不思議じゃないかもしれません。実際にそのサイトを見てみると、各支店の場所だとか、お好み焼きの特徴なんかが紹介されていました。フォームを使って客の意見を聞く、というのも普通なのかもしれません。しかし。未だに違和感があるのです。独自ドメインだという点が。なんの冗談かと思ったぞ。