とうとう無事に二十九歳となり、「四捨五入したら二十歳」と言い張れる身分から「三十路リーチ」と呼ばれる身分になりました。二十九歳というと、あれです。私の父が二十九歳の時に私が生まれた計算になりまして、ついついその辺と比較をしてしまうのです。私が一歳の時、すなわち父が三十歳の時に実家が建てられたわけですが、そういう分かりやすい比較対象があると「父は真っ当な人生を歩んできたんだなあ」とか思うわけです。片や「結婚してから子供も産まれ、家を建てて三十路スタート」。片や「二十歳そこそこで出来婚、三十路間近になっても自分の欲望の赴くままに下ネタ満載の文章を書く」。並べてみた場合、どう考えても前者の方が真人間です。
今更真人間になれなかったことを悔いても仕方ありません。駄目なら駄目なりに生きていきましょう。というわけで、今日もゲームしたり漫画を読んだり雑文を書いたりしています。多分、現在の私を構成する要素の大部分はこの三つだと思います。「エロが無いではないか」とか言われそうですが、その辺はこう、(エロ)ゲームとか(エロ)漫画とかその辺で。エロゲーから足を洗って何年経過したか覚えていませんが。
エロかどうかはさておき、ゲームは私にとって欠かせないものです。子供の頃から今に至るまで、様々な種類のゲームに触れてきました。マリオやドラクエといった有名なゲームもあれば、クソゲーと呼ばれるようなゲームもありました。テレビゲームのみならず、ボードゲームやカードゲームだってあります。友人宅でファミコンに触れ、みんなと一緒に対戦ゲームに興じ、カードゲームに少なくない金をかけ、そして現在では親子で、そして家族で楽しんでいます。今までの私の歩みを振り返ってみると、ゲーム抜きには語れません。そう考えると、といいますかどう考えても、私は「オタク」と呼ばれるような人種であると思われます。細かく分類するなら「ゲームオタク」、「ゲーオタ」ですね。濃い薄いの問題はあるでしょうが、ポケモンの育成について滔々と語る事が出来る人間は、あまり薄くはないゲーオタであると言えると思います。子供たちのように、「ピカチュウの技は『十万ボルト』と『ボルテッカー』と『電光石火』と『雷』にした」とか言ってるうちは「薄い」と言う事もできるでしょうが、「龍の舞一回で130族を抜けるように素早さを134調整。そのためには努力値を188振ればいいけど、固体値が29なんで196振らないといけない」とか言い出すともう駄目です。そもそも後者の文章、注釈無しには一般人には理解できません。分からないならば、とりあえず「なんかよく分からない事を言ってる」とでも思ってください。どうせ実になる話はしていません。
話は変わりますが、「クイズ マジックアカデミー」というゲームがあります。主にゲームセンターで稼動している通信対戦クイズゲームです。要は全国各地のプレイヤーとクイズで勝負するゲームですね。好評につきシリーズ五作目が稼動しているそうですが、先日はNintendoDS版も発売になりました。特に購入予定はなかったのですが、なんかこう評判を聞くうちについフラフラと近所のゲーム屋へ散歩に行ってしまいました。気付けば私の財布から五千円が失われ、そして私の手にはゲームソフトが。闇の組織の仕業に違いありません。
まあゲームが楽しければいいんです。子供たちが寝静まった後で居間のソファにごろ寝しながらプレイします。このゲーム、クイズに正解したり不正解だったりすると登場キャラが音声付で喋ってくれます。また同時に若干のアニメーションもあります。具体的には、男性キャラだとガッツポーズしたり喜んだり。女性キャラだと喜んだりジャンプしたり、その結果乳が揺れたり弾んだり。そんなゲーム画面を横から覗き込みながら、奥さんがしみじみと呟いてくれました。「あなたがオタクだなんて知らなかった」と。
知らなかったって、あなた私を何だと思ってましたか。こんな、一日に何時間もゲームをやってるような人間捕まえて「オタクじゃない」なんて言えるわけが無いじゃないですか。ただ、奥さんに言わせると明確な基準があるようです。どうも、「おめめが大きいお姉ちゃんが喋ったり、その乳が揺れたり」するゲームがいけないようです。近年私がよくやっていたゲームは、ジャンルは様々ですがお姉ちゃんがメインになるようなものはありませんでした。また、やたらと自機が死ぬような高難易度アクションゲームだとか、一般人が見ると目が痛くなるような弾幕シューティングゲームはアリなんだそうです。少なくとも、「オタク」ではなく「ゲーム好き」という分類になるんだそうです。基準としてどうなのかという問題はありますが、どうも「○○ちゃん萌えー」とかそんなのじゃなければいいようです。なので、「私は純粋にクイズゲームとして楽しんでいるのであり、自分の持ちキャラとしては男性キャラクターを使っているのであって、媚びたり揺れたり、あと揺れたりするような女性キャラクターを使っているのは対戦相手である」という説明をしてみましたが、「でもそういうゲームでしょ」と一言で返されてしまいました。
かくして、私は奥さんに「ゲーオタである」と認識されてしまいました。「されてしまいました」というのも変だな。どちらかと言うと「認識されてませんでした」とか「誤解されていました」という方が正しい気がします。そもそも私には自分がゲーオタに属するものであるという自覚があったわけで、今更何が変わったというものでもありません。それにしても、よもやつい最近まで「ただのゲーム好き」扱いだったとは。量ではなく中身で判断されていたとは。しかし、そうなると奥さん基準では「毎日一時間から二時間くらいアニメを見る」というのは、中身が伴っていなければアニメオタク、所謂アニオタ呼ばわりされないという事なのでしょうか。私の基準では何を見ていようとそれだけの時間を費やす奥さんは十分にアニオタであるのですが、ひょっとして自分の中ではただのアニメ好きという事になっているのでしょうか。