PalmOSを搭載したVisorを使用しているcloud君。どのような場面でも電子情報に触れることができるというのはなかなか便利です。通勤途中の電車の中、電車を待つ駅の中、仕事をさぼって潜り込んだトイレの中。いろいろな場所での暇つぶしに活用されています。

しばらく前までは、このVisorを使用してネットへの常時接続を行おうと企んでいましたが、通信環境の整備資金不足と、本体からの電源供給の不安からその計画は消滅してしまいました。要は、金欠と電池消耗の加速への不安です。みんなビンボが悪いんや。消滅してしまい、情熱も興味も薄れてしまったモバイル常時接続の世界。しかし、先日ひょんな事から再度この世界への扉をくぐってしまいました。

大型の建物を建設する際、建築業者はその敷地内、もしくは隣接区域に仮事務所を設営します。皆さんもよくご覧になっているプレハブの小屋です。あのプレハブ小屋。住環境は最悪と思われるかもしれませんが、案外そうでもありません。夏場なんかはクーラーが効き過ぎて寒いくらい、冷蔵庫も置いてあり中にはジュースが完備、電気ポットがあるんで熱いお茶も飲めますよ、そんな小屋もあるんです。私の実家が建設業を営んでいるため、学生時代はバイトとして雇ってもらっていたのですが、某中学校の改装工事に携わっていた際には上記のような仮事務所がありました。プレハブ小屋の装備も時代によって変化している事でしょう。昔の事は知りませんが、クーラーなんてつい最近まではなかったでしょうし。冷蔵庫はもうちょっと歴史があるかな、電気ポットはなくても魔法瓶くらいはあるかな、といった具合です。

さて、大型の公共工事なんかを受注した際、契約書にはいろいろな条件が記述されています。私も関わったこの某中学校改装工事。この契約の中には「事務所に電話を設置する事」というものが含まれていました。ごもっともな話です。ちょっとした打ち合わせのためだけに担当者が現場に来るわけにもいかないでしょう。連絡手段を準備させておくというのは当然の事です。時代は20世紀末。IT革命が囁かれる世の中でしたが、「事務所に設置する電話」として選ばれたのは携帯電話でした。昔の現場事務所がどうだったか、という事は知りません。あくまで推測ですが、電話の権利を準備したり、電話線を引いたりと結構なコストと手間がかかったのではないでしょうか。しかし、21世紀を目前に控えた当時、それらの準備はわずかなコストと多少の手間で賄う事ができました。

あの当時は携帯電話でも感心していたのですが、時代は進んでいたようです。実家に戻った際、父に相談されました。「今度の仕事を落札した際には、現場にネット環境を構築しなければいけない」と。

ワンダフルです。まさか父からネット環境構築に関しての相談を受ける日が来るとは思ってもいませんでした。「メールを送るのは云々」とか「デジカメを使うのは云々」なんて手順をすっ飛ばして、いきなり環境構築です。IT革命は地方の公共工事にまで浸透しているようです、なんて事まで考えてしまいました。しかし、考えてみればごもっともな話かもしれません。打ち合わせに携帯を使用していた時代から、打ち合わせにメールを使用する時代へ。添付ファイルを使用すれば、図面の確認も容易に。いや、さすがに私の仕事と違って仕様変更だの設計変更だのが頻繁に行われる事はないでしょうけど。それでも、使用用途は容易に思い浮かびます。

で、わざわざ電話線を引っ張って云々というのは面倒だろうと、モバイル常時接続の話をしてみました。父がどれくらい理解したかはわかりません。が、この相談が私の中に眠っていたモバイル常時接続魂に火をつけました。えらい長い名前の魂ですな。しかし、問題は山積しています。購入への相談だとか、購入後の環境整備なんかは私が手伝う事でなんとかなるでしょう。問題は運用。「誰が使うんだ」という最大の問題があります。いや、さすがに父に「メールを受信して添付ファイルを確認後返信する」という高度な技術を要求するのは酷ではないかと思います。となると、現場の若い人?そんな優秀な逸材がいるのか?俺がバイトに行ってたときですら平均年齢40前後だったのに。

やっぱり父が使わなければいけないのでしょうか。いや、そりゃ重要書類なんかが送られてくる事も考えられるので、本人が操作する事が望ましいんでしょうけど……教育係は母か。頑張ってくれ。俺は逃げる。後は任せた。


トップ 一覧 前の雑文 次の雑文