人間の三大欲求というと、「食欲」「睡眠欲」「性欲」であると言われています。しかし、このような意見もあります。
「赤子には性欲は無い。だから三大欲求には「性欲」の代わりに「排泄欲」を入れろ」
まあ、確かに性交よりは排泄のほうが優先されるかもしれません。どっちも気持ち良い事には変わりありませんし、それならば排泄を優先するべきだという意見にも頷けます。男性側としては「溜めて溜めて一気に出す」という点で共通している部分もありますし。女性側は共通してないのか。出さないもんなぁ。
私は就業時間中によくトイレに行きます。特に、眠くて眠くてたまらない時なんかは、個室に入ってしばし目を閉じて休息します。どうにも頭が働かない状態で仕事するのも効率が悪い、この方が効率が良くなるんだ、と無理やり自分に言い聞かせてます。いや、実際にバリバリ仕事をしている最中は殆ど眠くならないわけでして、「眠くてたまらない」イコール「暇でたまらない」というわけです。で、トイレにこもってぼけーっとしたり。ええ。ごめんなさい。
実家のトイレは汲み取り式の和式便所だったわけですが、仕事先の便座は全て洋式です。だから、長時間座っていても足が痺れたりしない……はずなんですけどね。実際は座り方が悪いのか、だんだんと足がしびれてきます。そんなに長時間便所にこもるな、という神のお告げでしょうか。さすがに足が痺れてまで便所にこもるのもどうかと思いますので、そうなってくるとようやく外に出ようかという気になります。
ここで登場するのが文明の利器であるウォシュレット。いや、あれは気持ちいいですね。使ってみるまでは怖いんですが、実際使ってみるとあまりの快感でメロメロに。いや、快感というのは大袈裟かもしれませんが、快適な後始末ライフをおくる事を保証してくれるような、なんだか何を言いたいのかさっぱり分からなくなってますが、とにかく最初に使ってみたときは凄いカルチャーショックを受けました。ウォシュレットというものは1980年から発売されているそうですが、それはすなわち私が生まれた直後という事ではありませんか。私はこの歳になるまで使用する機会もなく、昔ながらの便所紙を使用していたというのに、時代の最先端を行くぶるじょわじーな方々は水を使用していたという事ですか。うむむ。それもこれも実家の便所が悪いんだ。
さて、ウォシュレットが登場してからかれこれ20年余りが経過しております。そろそろ、「21世紀ならではの新機能」というものがほしいところです。何といっても、来年には鉄腕アトムが誕生する予定なのですから。やっぱ、自動追尾式水放射機能とか、後ろからだけでなくノズルが自動的に動く180度放水機能だとか、そういう夢があふれる未来の機能の実装が待たれます。あふれてるのか、夢。あとは水と同時に消臭成分も出すような機能とか。この辺はなんか既に実現されてそうだな。全然調べずに書いてますけど。
そんな夢と妄想があふれる便所を考えていた先日。いつものようにトイレに行ったものの、丁度掃除中だったため、下のフロアのトイレに向かいました。そこで私が見た物とは。
「あなたの体調がわかる便座」
未来です。21世紀です。ファンタスティックです。まさしく、夢があふれる便座と言えるでしょう。話だけは聞いていた「毎日の便の状態で体調が分かるトイレ」という奴です。大型コンピュータがガガガガっと動いて、ビービージージーと結果を記録した用紙が吐き出されるような、そういう物々しい代物を想像してしまいました。恐る恐る個室の中を覗いてみましたが、なんのことはない、普通のウォシュレットと同じような機械が便器に取り付けられていました。
「ほうほう、この機械が体調を調べてくれるのか」
じろじろと眺めたいのは山々ですが、なにしろ別のフロアで便器をしげしげと観察するというのは不審者以外の何者でもありません。近付いてくる足音を聞き、やむなく隣の、普通の便座がある個室に入りました。え、その時なんで体験してみなかったのかって?だって、ほら、怖いし。ウォシュレットと同じような事を言っていますが、やっぱりこれも私が使ってみるのはあと10年ぐらい先なのでしょうか。