以前もちょっとだけ服の話をしましたが、私は服装に無頓着です。高専時代は5年間、ほとんど同じような格好でした。下半身は黒のズボンと白の靴。上半身は季節に応じて半袖、もしくは長袖の青シャツ。冬場であればその上に数枚の上着を被せれば出来上がりです。学校でも、本屋でも、ゲーセンでも、そして家業の手伝いで建築現場に出るときも、基本的にこの格好です。さすがに現場に出るときにコートを着ることはありませんが、殆ど年中同じ格好でした。
「自分の彼女の髪型が変わる事を嫌う人間は保守的である」という話を聞いたことがあります。私の場合、黒髪でストレートであれば、どう変わろうと構いはしないので、そういう意味では保守的ではないのではないかとも思います。が、自分の服装に関しては変化を好みません。以前、相方に衣装ケースの中を見られたときは、何故に同じような服しか入っていないのかと嘆かれたものです。青シャツばっかりの衣装ケースって、そんなに変なんでしょうか。たかだか、半袖と長袖が10枚程度入っていたくらいなのですが。無論、変化を好まないので他の色はありません。
某雑文書き殿と違って、シャツが2枚しかないとか、パンツが3枚しかない、とかいう事はありません。下着くらいは毎日換えたいので、週末にまとめて洗濯するまで持ちこたえられるような枚数を維持しています。同様に、夏場のシャツもできれば毎日取り替えたいので枚数が多めになります。その分、冬場用の長袖シャツが少なくなるのですが、「冬場は汗をあんまりかかないからおっけー」という理論でカバーしています。
さて、変化を好まないという特徴は、衣装の所持内容だけでなく、日々の着替えにも表れてきます。下着類なんかは別に勝負パンツがあるわけでもないので、きちんとローテーションを守って穿いているだけですが、限界まで穿き続けるためにボロボロになるまで現役を続行しています。先日、初めて尻の部分が裂けたパンツを発見しました。尋常じゃない屁をこいた、という記憶が無い以上、自然と磨耗して裂けたと解釈するのが妥当でしょう。しかし、あれは見事な裂けっぷりでした。縦に10数センチほど。ホモに襲われたら言い訳できないような裂けっぷりでした。
冬場なんかは変化を好まないという特徴が顕著に表れます。平日の日中は当然の事ながらスーツを着て仕事をしていますし、自宅に帰れば部屋着に着替えるため、普段着になるのは週末くらいです。しかも、前述した「冬場はあんまり汗をかかないから服が汚れにくい理論」の提唱者であるため、なかなか服を洗濯する機会がありません。ただでさえ冬場はシャツが乾きにくいので、なるべくなら洗濯物の量を減らしたいという願望もありますが。で、そんな事をしていると、同じ組み合わせの服で1ヶ月くらい過ごしてたりします。そこで慌てて洗濯してたりするのですが、その翌月にはまた同じ組み合わせの服を着てたり。で、春先になって「あ、今年の冬はこの服は一度も着なかったなぁ」なんて事があったりします。決して衣装持ちなんかではないのに。
しかし、そうやって衣装ケースから発掘されて着てもらえる服はまだ幸せだったりします。以前、衣装ケースの中を片付けていたときの事です。見慣れないズボンがありました。黒いズボンしか持ってないはずなのに、何故このズボンは白っぽいのだろう。他人のズボン、というわけではなさそうです。おかしいなぁ、と思いながらそのズボンに手を伸ばします。
……カビだ。
あろう事か、私の所有する数少ないズボンはカビまみれになっていました。ねとねとするジーンズなんて初めて触りましたよ。たしかに、衣装ケースに押し込む際に洗濯はしなかったような気がします。そして、それから半年は経ったような気もします。慌ててその近辺の服を調べましたが、どうやら被害はズボンだけで留まっていたようです。ほっとしましたが、何故2枚しかないズボンの片方が半年も使用されなかったのか、という大きな問題が私に投げかけられました。俺は半年も同じズボンを穿いてたのか……いや、それよりも、現在進行形で白くなりつつあるこのベルトはどうしようか。と、そんなことを悩んだ事もありました。
それから月日もたちました。ここ数日、めっきり寒くなっており、外出の際には長ズボンが欲しいような気候になっています。部屋着から着替えようと、衣装ケースから春頃に穿いていたズボンを取り出します。……私の目の前にあるズボンは何故水玉模様をしているのでしょうか。おいおいおいおい。またカビかよ。カビによって水玉模様になってしまったズボン。そして、カビによって縞模様になってしまったベルト。両手に持って途方に暮れてしまいました。いや、その前に除湿剤とか買ってこなきゃ。いざ行かん、お買い物。と、その前に一つ問題が。私は買い物に行く際、「カビで水玉模様のズボン」と「防虫剤その他の臭いが混ざってしまって尋常じゃない異臭が漂うズボン」のどちらを穿いていけばいいんでしょうか。