学生時代は教育関係の業者から家に電話がよくかかってきていました。私だけでなく、妹達も連中のターゲットになっていました。何度かは親のふりをして電話に出たこともあります。
「cloudさんの成績はいかがですか?」
「いやぁ、私に似て優秀でして。はっはっは」
とか何とか適当に相手したこともあります。
一般家庭には教育業者がしつこく電話をかけてきますが、会社には金融業者がしつこく電話をかけてきます。私の実家は建設業を営んでいます。会社と呼ぶのもおこがましいような零細企業ですが、まあぼちぼちとやっていってるようです。
数年前、私が実家にいた頃ですから2、3年程前ですが、日栄なるサラ金業者が借金の取立ての際に腎臓を売れなどと言って逮捕された事件がありました。その頃は我が家にも日栄からの電話がよくかかっていました。取立てではありません。営業の電話です。恐喝事件が表沙汰となってからしばらくは営業自粛期間中だったはずですが、その期間も我が家には日栄から営業の電話がかかってきていました。
で、あまりにも電話が頻繁にかかってくるもので、こんな対応をしたことがあります。
「社長様はいらっしゃいますでしょうか」
「申し訳ありません、只今ハワイに旅行中でして」
「(びっくりして)ハワイですか。えーと、いつ頃戻られる予定でしょうか」
「だいたい2週間後くらいには帰ってくる予定になっております」
「そうですか、それでは」
いや、見事に引っかかってくれました。ただ、残念なことに翌日にはまた別の社員から電話がかかってきてました。せっかく思いついたネタなのに。
さて、未成年の間は一応親に対しての電話だったわけですが、20歳を超えると直接本人にかかってくるようになります。この辺は、民法で「悪質な契約に対しては、未成年という理由で契約を取り消すことができる」と決まっているからです。未成年じゃなけりゃ大丈夫、ばんばんむしりとってやれ、ということです。
正月に実家に戻ったところ、母がその手の電話の話をしてくれました。
「昔の知り合いとか言って、電話番号を聞き出そうとするのよ」
ほうほう。それは本当に同級生とか言うわけではないのですかな。
「なんか、学校は違うけど友達だったって言うの」
む、確かに怪しいですな。
「で、これは怪しいと思って切ったの」
本当に知り合いだという可能性もあるのではないでしょうか。
「大丈夫。女の人の声だったから。男ならともかく女なら絶対に違うでしょ」
……いや、そりゃそうですが、『絶対』に力を込めて言わなくてもいいじゃないですか。しくしく。